[ 河童 かわっぱ ]

人の心の中にある、22.5℃の湿地帯に棲む変幻自在の発光エネルギー体。
聞こえる人と聞こえない人がいるが、通常「キュユユーン」と啼く。宿主の
人生が順風満帆のときには、ぐっすり眠っているが、雨模様になると動きだし、
また語り、痛み出した宿主のこころの微調整をおこなう。
人科の生物では、宿主のこころの一生の守りとして、代々幼い頃に植えつけ
られてきた。おそらく、忘れがたくて、宝もののような快感の思い出。




「 ふるさと 」
大きなざるに入れられたふかしたじゃがいも。塩をつけて食べる。
甘くないとうもろこし。甘いさつまいもはごちそう。大家族のおやつ。土間のある暮し。
池には お祭りですくった金魚と こうらに穴をあけられ 計金でつながれた亀がいた。
あまり美人でない みー という猫とカナリア。
犬は保健所の来ない日曜日や 夜になると鎖を解かれ
朝ご飯の時刻になれば ちゃんと小屋に戻ってきた。
隙間風だらけの小さな長屋の 大家族の生活が どんなにこころ豊かで しあわせだったか
ひとりっ子のむすめに 伝えてやる術がない。



「 初恋 」



「 花 」
夏には蛍が飛び交って
秋には黄金の稲穂ジパング
近くにぬるい温泉が涌いて
背丈ほどの蒲の帆がいっぱい生えている
そこはふたりの ひ・み・つ だけど
河童語でおしえてあげるよ
kAmImOKUoNsEn



「 水の色 」
この透きとおる水を”美しい”と
人が思わなくなったら どんな世界になるのだろうか?
私は美術家として何をしただろう?
あわてて描いた「水の色」



「 喜雨 」




「 日傘・ガマ 」
ちゃんと傘さしてあげてる?
ちゃんと傘にはいってる?
守るってことも まもられるってことも
なんて大切なことなんだろ。



「 銀の道 」
歩いてみるまで気づかなかった
いつも通り過ぎるだけの
鉄とコンクリートの無愛想な道路
そんなふうに思っていた
道の隅に生えたすすきの穂が開いて
今はわたしの歩みと同じはやさで行きすぎる
銀の道